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CONTAX Tele-Apotessar 500/5.6 T* AE (G) serial No.0000001

 \ 630,000

1975年、RTSに始まったヤシカ/コンタックスは、その後に京セラ/コンタックスへと変わりながら数々の名機を世に送り出して来たが、2005年に残念ながら30年の歴史に幕を引いた。ボディの性能もさることながら、その名声を支え続けてきたのは、言うまでもなくカール・ツァイスによるレンズの存在であった。
現在でも、これらのレンズは中古カメラ市場では人気が高く、それらを使いたいがためにコンタックスのボディを手に入れる熱心なユーザーが後を絶たない。

一般に、このヤシカ/コンタックスの為にツァイスによって製造されたレンズで最も焦点距離の長いのは、テレテッサーの300ミリであるとされている。(ミロター等の反射式レフレックス・レンズは、もっと長い玉がある。ここでは、あくまで通常の屈折式レンズに限っての話とする。反射式であのツァイスの味が出るかどうかは議論の余地がある。)
私もずっとそう思いこんでいたし、カタログ等で35ミリSLRの交換レンズラインナップに400ミリ以上のレンズが掲載されているのを見たことはなかった。
しかし、実は…存在したのである。現品が目の前にある以上、その存在を否定できる材料は無い。市販されたのかどうかは不明であにしても、製造されたことは間違いのない事実である。今回は、おそらく実在さえ殆ど知られていないであろう、コンタックス/カール・ツァイスの望遠レンズ、正に「幻の」テレ・アポテッサーをご紹介したい。

 

二本あるうち、先に見ていただくのはテレ・アポテッサーの500mm F5.6 T*である。
テレ・アポテッサーの500ミリと言えば、カール・ツァイスから供給されているハッセルブラッドの交換レンズが思い出されるが、レンズシャッター方式である事もあってF値が開放で8と、一絞り分も暗い。写真でおわかりのように前玉の大きさもまるで違う。レンズ設計そのものが異なっているのは、誰の目にも明らかであろう。

 

ヤシカ(京セラ)/コンタックスのツァイス・レンズには、ご存知の通り本国であるドイツ製と、その他の一部に日本製のものがあるが、このレンズは勿論ドイツ製である。写真の通り"West Germany"と刻印があることから、少なくともドイツが東西に分かれていた時代に作られたものであると考えられる。東西ドイツの統一が1990年であるので、それ以前ということになる。マウントがMM(マルチモード)タイプでなくAEタイプであることも、このレンズが近年の製作ではないことが推測できる。

 

そして、このレンズの稀少性をさらに高めているのがこのシリアルナンバーだ。なんと、0000001-つまり1番!である。カール・ツァイスのレンズには戦前から通しナンバーが打たれている。コンタックスSLR用のレンズの最初期に該当するのが58XXXXX、最後には14XXXXXXとなったが、少なくとも市販される通常のロット生産で0000001というナンバーはあり得ない。とすると、この現品に限って言えば一般に販売することを想定していない「試作品」という可能性もある。確かに、レンズキャップにも市販品ならばあるはずの"CONTAX"という刻印がなく、ツァイスのシールが貼ってあるだけという愛想のない造りになっている。



ケースもコンタックス/ツァイスの大型レンズに共通して見られる、臙脂色のアルミケースにきちんと収められているものの、内寸が完全には適合していない。市販された商品ならば、内部で動いたりしないように寸分の差もなくパットや仕切で固定されるようになっているのが、この種のレンズの常である。

見れば見るほど謎の多いレンズであるが、コンタックス・ファンやカールツァイス・マニアにとっては、またとない程のコレクション性を持つ製品であろう。お値段もそれに見合う?ハイ・プライスではあるが、これを逃せば二度とは巡り会えないかもしれない、まさにオンリー・ワンのアイテムと言えよう。



CONTAX Tele-Apotessar 800/8 T* AE (G)

 \ 462,000

「幻の」テレ・アポテッサー、その二本目は800mmF8である。

 

このレンズも先述の500/5.6と同じく、カタログなどの掲載例はない。

 

しかしながら、こちらは通常のカール・ツァイス製レンズに共通してみられる通しナンバーが付いている。
65XXXXXであるから、ヤシカ(京セラ)/コンタックスの歴史においては比較的初期に近い時期の製造であると推測することが可能だ。このナンバーだと、後には生産を日本に移行したプラナー85/1.4なども、まだドイツ本国で生産していた時期である。

 

やはり500ミリと同じく"West Germany"の刻印が入っており、マウントもAEタイプだ。65XXXXXという製造番号に見合った仕様である。おそらく、もう一方の500ミリもこれと同時期の生産なのではないだろうか...。



市販を目的として製造されたのであれば、こうしたブランドネームがきちんと刻印されたキャップが付属しているのも頷けるところだ。しかし、ここまで「商品」として丁寧に造り込んであるにもかかわらず、発表や発売の記録が見当たらなかったり、カタログの記載例がみつからないのは、いったい何故なのだろうか? かえって大きな謎のようにも思えてくるところである。やはり「幻」と形容するにふさわしいレンズと言えよう。



ケースは、恐らくこのれんず専用に製作されたものであろう。サイズもピッタリだし、他にここまで全長サイズの長いレンズはツァイスには無かった筈で、流用しようにも出来なかったと思われる。


この二本のテレ・アポテッサーだが、当社としても仕入れる段階と、仕入れてから現品を仔細にチェックする段階で、何度も文献などで調査・研究してみたものの、信頼に足る印刷物は発見・入手することが出来なかった。
もちろんインターネットでもGoogleやWikipediaなどで検索・調査したが、ほとんど情報らしい情報がヒットしないので、確信を持ってお伝えできる事は現品から得られる事実のみである。

ただし、下記のサイトには、コンタックスSLRカメラの交換レンズ一覧が掲載されており、その中にはこの二本も間違いなく記述が見られるので、興味のある方は一度ご覧になると良いだろう。
http://www.optyczne.pl/16-Carl_Zeiss-obiektywy.html
ドメインネームが「.pl」とあるので、ポーランドのサイトと思われる。言葉の壁に阻まれて、残念ながら内容までは理解できなかったが、簡単な仕様についても記載があるので、参考になる。著作権や知的財産所有権に絡み、勝手に引用するわけにもいかないので、ここでは敢えて掲載せずにURLの記述にとどめておく。